大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和32(オ)405 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人加藤義則、同佐藤米一の上告理由第一点について。

所論は違憲をいうが、本件土地の賃貸借が強制によるものとは認められず、民法

による適法な賃貸借契約である旨の原判示は、その挙示の証拠に照らし、これを是

認しうるから、論旨は右原審の判断に副わない事実関係を前提とするものであり、

違憲の主張は前提を欠き採るを得ない。

同第二点について。

原審は近傍類地の売買実例につき陳述した第一審証人Dその他の証人の各供述を、

いずれも信用できないとして排斥しているのであるから、結局原審は、所論のよう

に近傍類地の取引価格を考慮しなかつたわけではなく、これを考慮した上で、上告

人らの主張立証を採用しなかつたものである。それ故、原判決には所論の違法は認

められない。また近傍類地の取引価格を全然考慮しなかつたことを前提とする判例

違反の主張も、前提を欠くものであつて採るを得ない。

同第三点について。

所論本件土地に賃貸借契約が存在したとの主張が、民訴一三九条の「之カ為訴訟

ノ完結ヲ遅延セシムヘキモノ」に当るものとは、記録に徴し、認めることができな

い。それ故原審がこれを却下しなかつたからといつて所論の違法は認められない。

同第六点について。

原審の認定した事実関係の下においては、本件土地に賃借権が存在し、右土地が

賃借使用せられていたことは明瞭であつて、原判決は、右事実をも基礎として本件

損失補償金額を算出すべき旨を判示したのである。されば所論賃貸借契約の当事者

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を誤認した違法ありとの主張は、判決に影響を及ぼすことの明らかな法令違背を主

張するものとは認められない。

同第一一点について。

原判決は更地を借地権のない土地の意味に使用したものであることは判文上明ら

かである。所論は原判決に影響を及ぼすことの明らかな法令違背を主張するものと

は認められない。

同その他の諸点について。

所論は違憲、違法をいうが、その実質は原審の裁量に属する証拠の取捨、事実の

認定を非難するに帰する。しかし原審の事実認定は、その挙示の証拠に照らしこれ

を是認することができる。それ故所論は採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

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